令和4年度司法試験再現答案 民事系

 

民事系は、162点。700番台。民法・商法がAで、民訴Cでした。

 

民法:3534字>

第1 設問1(1)

1(1)Cは登記名義者Aに対して、所有権(民法(以下、法名省略)206条)に基づき、甲土地の引渡を請求していると考えられる。Cは甲土地の所有権取得について、前主Bとの売買契約(555条)である契約②を主張することが考えられる。

(2)これに対して、Aは、契約①は偽造されたものであるから契約①は無効であり、契約②当時、Bは無権利者であるから、契約②は他人物売買(561条)であって、物権変動は生じないため、Cは甲土地の所有権を取得していないと反論することが考えられる。

(3)これに対して、Cは、自己が94条2項の「第三者」にあたり保護される結果、甲土地の所有権を取得すると再反論することが考えられる。では、Cの主張は認められるか。

ア まず、契約①において、AB間の通謀は存在しないから、同条を直接適用することは出来ない。もっとも、同条の趣旨は、虚偽の外観を作出した本人の帰責性の下、外観を正当に信頼した第三者を保護する点にある。そこで、通謀がなくとも、①虚偽の外観が存在し②虚偽の外観作出につき本人の帰責性が有り③外観に対する正当な信頼が認められる場合には、同項の類推適用により、「第三者」は保護されると考える。

イ 本件において、契約②時点で、甲土地の所有権移転登記はB名義であった(①充足)。②について。確かに、AはBの要求に応じて、所有権移転登記に必要となる書類等を交付しているからAに帰責性があるとも思える。しかし、不動産取引のないAが、抵当権抹消登記手続に必要であるというBも求めに応じて、必要書類を交付したことは、正当な理由に基づくものである。また、虚偽の登記がなされてから、上記請求がなされたのは、僅か1か月にも満たないため、虚偽の外観の存在を知った上で、あえて放置していたとは言えない。よって、Aに帰責性は認められない(②不充足)。

ウ よって、本件において、同項を類推適用出来ず、Cは「第三者」に当たらない。

よって、Cの再反論は認められず、Aは上記主張を拒絶出来る。

第2 設問1(2)

1 請求1について

(1)Dは登記名義人Cに対して、所有権に基づき、請求1を主張していると考えられる。甲土地所有権の取得原因は、契約3である。

(2)ア これに対しCは、AB間の契約④に基づき、Bが甲土地の所有権移転登記を具備したことで、Dは所有権を喪失したと反論することが考えられる。

イ これに対しDは、Bは「第三者」(177条)に当たらないため、登記なしでも、所有権を対抗出来ると再反論することが考えられる。では、Dの再反論は認められるか。「第三者の意義が問題となる。

 この点、同条の趣旨は、不動産取引について、登記という画一的基準に基づいて、取引の安全を保護する点にある。そこで、「第三者」とは登記の欠缺を主張するに正当な利益を有する者をいうと考える。そして、自由競争原理の下、単なる悪意者は「第三者」に含まれるが、自由競争原理を逸脱する背信的悪意者は信義則(1条2項)上、登記の不存在を主張する正当な利益を有せず、「第三者」に当たらないと考える。

 本件において、Bは契約④の時点で、契約③の存在を知っているから悪意者である。また、契約④を締結したのは、Bがかねてより恨みを抱いていたDに損害を与えるためであったから、背信性も認められる。よって、Bは、背信的悪意者だから、Dは登記なしでも、所有権をBに対抗できる。

 よって、Dの再反論は認められる。

(3)どうだとしてもCは、契約⑤に基づき、甲土地の所有権移転登記を具備したことにより、Dは所有権を喪失したと主張することが考えられる。ではかかる主張は認められるか。

ア まず、Bは、Dとの関係で登記を対抗出来なくなるに過ぎず、無権利者ではないから、契約⑤によって、物権変動は生じる。そこで、Cが「第三者」に当たらない限り、Cの主張は認められると考える。

イ 本件において、Cは、契約③の存在につき悪意であるものの、Dを害する意図はないから、背信性は認められない。よって、Cは「第三者」にあたるから、Cの上記主張は認められる。

(4)以上、Dは所有権を喪失しているので、請求1は認められない。

2 請求2について

(1) Dは「転得者」Cに対して、DのAに対する甲土地の所有権移転登記手続請求権を被保全債権として、詐害行為取消権(424条の5)に基づき請求2を主張していると考えられる。以下、要件充足を検討する。

(2)ア (ア)上記被保全債権は特定物売買における登記請求権であって金銭債権ではないものの、最終的に同債権が履行不能となれば、損害賠償請求権という金銭債権になるから、同条の被保全債権となる。

(イ)保全の必要性について、甲土地はAが所有する唯一のめぼしい財産であって、契約④にとって、無資力となったといえるから、保全の必要性も認められる。

(ウ)「債務者が債権者を害することを知って」(424条1項本文)いたか、という悪意要件について。悪意については、債務者の客観的事情と主観的事情とを相関的に判断すべきと考える。

 本件では、Aは唯一の目ぼしい財産である時価4000万円の甲土地を、僅か半額の2000万円でBに売却(契約④)しているから、客観的な詐害性は強い。そこで、主観的には、詐害性を単に認識していれば、悪意になると解するところ、Aは、契約④の売却価格が時価の半額であることを認識している。よって、悪意性は認められる。

(エ)「転得者」Cの悪意(424条の5第1号)について。(ウ)同様、Cは積極的な詐害意思までは不要で、詐害性を認識していれば足りると解するとこと、契約⑤時点において、Cは、契約③の存在を認識しているから悪意性が認められる。

イ これに対して、Cは、「受益者」Bが契約④時点で、「債権者」Dを「害することを知らなかった」と反論することも考えられるが、BはDに損害を与えるために契約④を締結しており、かかる反論は認められない。

(3)以上、請求2は認められる。

第3 設問2

1 FはGに対して、契約⑥(601条)に基づき、請求3を主張していると考えられる。

2 これに対して、Gは、目的物の乙建物がHに譲渡されたため、賃貸人の地位もFからHに移転し、かつ、FはGに賃貸人の地位を対抗出来なくなるから賃料支払を拒絶すると反論(主張ア)していると考えられる。これは、賃貸人の目的物を使用収益させる義務が没個性的なものであり、かつ、不動産の所有者が賃貸人となる方が、賃借人保護に資するという根拠に基づくものである。では、かかる反論は認められるか。

 乙建物は、建物でありFからGへの引渡がなされているから「借地借家法31条」の対抗要件を具備している。よって、その譲渡(契約⑦)により、賃貸人の地位はFからHに移転する(605条の2第1項)。

 契約⑦に基づき、H名義の所有権移転登記になされているから、HがGに賃貸人の地位を対抗出来る結果、FはHに賃貸人の地位を対抗出来なくなる。

 よって、Gの反論は認められ得る。 

3 これに対して、Fは、契約⑦は譲渡担保契約であって、同契約では直ちに乙建物の所有権移転は生じないという再反論(主張イ)、及び、賃貸人の地位につき、HF間でFに留保する旨の特約(605条の2第2項)があったから、その地位はHに移転しないとの再反論(主張ウ)することが考えられる。かかる主張は認められるか。

 主張イについて。譲渡担保も、取引安全を観点から、形式を重視すべきであり、譲渡担保を原因とする移転登記も認められている以上、契約⑦によって、物権変動は生じている。よって、主張イは認められない。

 主張ウについて。使HF間で、債務αの弁済期経過前までは、Fが乙建物使用収益するという特約があることから、賃貸人の地位は、弁済期まではFに留保され、Fは同期間の賃料請求権を有する。他方、弁済期後に関しては、譲渡担保目的物の使用収益権を喪失するので、賃料請求権は、Hに存する。

 よって、弁済期経過後である令和5年6月分の賃料請求権はHに存する。また、経過前の同年5月分の賃料請求権はFにあるものの、弁済期経過によって、未払賃料請求権付きの賃貸人の地位が、Hに移転するから、同月分の賃料請求権もHに存する。

 よって、主張ウは認められない。

4 よって、請求3は認められない。

第4 設問3

1 Mは、契約⑧に基づき、Kの相続人であるLに対して、請求4を主張していると考えられる。

2 これに対して、Lは、契約⑧は、贈与者の死亡を停止条件とする贈与契約であるから、死因贈与として、遺贈に関する規定が準用される(554条)結果、本件の自筆証言遺言によって、撤回されたと反論することが考えられる(主張エ)。

かかる主張は、1022条、1023条によって、認められる。

以上

 

<商法:3291字>

第1 設問1

1 Dは甲社に対して、①一連の経緯により取締役を失ったことは実質的な解任であって②かかる解任には「正当な理由」(会社法(以下法名省略)339条2項)がないため③損害賠償を請求出来ると主張することが考えられる。同主張が認められるか、以下検討する。

2 (1)①について。一連の経緯は、会社法上、適法な手続によって定款変更がなされた上で、取締役の任期満了後の選任決議が否決されたに過ぎないのであるから、形式的には解任に当たらないという見解も考えられる。

もっとも、甲社のように親族関係者のみで、特別決議が可能な2/3超の株式を保有している場合には、株主が濫用的に議決権を行使して、特定の取締役を退任させたと言える場合には、かかる退任は実質的に解任にあたると考える。

本件において、甲社の株主構成は、A及びその親族のBとCによって8万株/10万株を保有しているから、2/3超の株式を保有している。

また、定款変更等の一連の経緯は、Dが、Aらの東北地方進出という経営方針に反対し、意見対立が起こった僅か1か月以内に行われ、Dのみが取締役からの退任を余儀なくされている。そうすると、一連の経緯は、Aらが経営方針に反対するDを退任するために濫用的に議決権を行使したといえ、上記経緯は、実質的な解任にあたるといえる。

(2)②について。

ア 「正当な理由」の意義が問題となるところ、同項の趣旨は、株主による取締役の解任の自由を保障する一方で、取締役の任期に対する期待を保護する点にある。そこで、「正当な理由」とは、取締役の心身の故障(a)や著しい経営能力の欠如(b)を意味すると考える。

イ 本件において(a)の事情は認められない。

(b)について。Aらの東北進出は事業拡大策であって、かかる経緯事項を反対することに合理的理由がなければ、著しい経営能力の欠如が認められうるが、本件において、Dが同方針に反対したのは、2年連続営業損失を計上している甲社の経営状態を踏まえて事業拡大をすべき状況にないことを理由にするもので、合理的理由に基づく反対といえる。よって、(b)も認めらない。

よって、「正当な理由」は認められない。

(3)③について。

では、損害賠償額はいくらか。上述の同項の趣旨から、取締役の任期まで役員報酬が損害賠償額になると考える。

本件において、Dの取締役の地位は、乙出身者が就任する慣習が有り、その任期は以前から4年間という運用がなされていた。また、就任当時57歳だったDは、かかる慣習を理解した上で、Aに対して、61歳まで取締役をする方が安定した収入が得られるので、引き受ける旨を伝え、Aもこれを承諾している。そうすると、契約の内容としては、Dの取締役の任期が4年間だったといえる。よって、Dは、残り2年間の役員報酬960万円(40万円/月×24か月)を損害賠償請求することが出来る。

第2 設問2

1 「株主」(847条1項、2項)Jは、「役員等」Gに対して、423条1項の損害賠償責任を追及していると考えられる。では、Gに同条の損害賠償責任が生じ、Jの主張は認められるか。

2 423条1項の損害賠償責任が生じているか以下、要件検討する。

(1)任務懈怠について

 取締役Gは、会社に対して善管注意義務(330条、民法644条)を負うところ、本件事業譲渡契約締結についての一連の経緯が、同義務に反するか。

ア この点について、経営判断事項に関しては、会社の健全な成長のためには一定のリスクを取らなければならず、常に損害賠償責任を認めると取締役が萎縮をして、妥当ではない。そこで、通常の経営者を基準として、経営判断の過程と内容において著しく不合理である場合にのみ、任務懈怠が認められると考える。

イ まず、事業譲渡は、会社の組織再編に関するもので、経営判断事項に該当する。

次に、本件においてデューデリジェンス(以下、「DD」という)を行わずに、事業譲渡を実行したという過程は著しく不合理といえないか。

この点について、確かに戊社の売上総利益の50%が甲社との取引に由来すること、その甲社の事業に大きな影響を及ぼすのが乙の日用品事業であること、戊社の60%親会社が甲社であることなど、三社の密接な関係性から、乙社の日曜品事業を救うことは、戊社にとってもメリットがあるといえる。そして、乙社は法的整理も検討している状況で、親会社の代表取締役Aに迅速な対応を求められたことから、DDをせずに、事業譲渡を実行したことには一定の合理性があるとも思える。

 しかし、Gは、金融出身で事業譲渡等の専門家ともいえるHから、同様に専門家の弁護士の意見を踏まえた意見としてDDを行った方が良いという指摘を受けている。また、乙社は別の譲渡先を探すことも視野に入れており、その譲渡先で経営再建する可能性も有ったといえる。さらに、AからGに対する迅速に進めてほしい旨の発言は、Gの取締役再任との交換条件の下になされたものであって、Gはかかる私情を判断過程に持ち込むべきではない。

 よって、通常の経営者であれば、本件事業譲渡に際し、DDを実施しているといえるものの、Gはこれを怠っており、経営判断過程において著しく不合理であるといえる。

 よって、Gに任務懈怠が認められる。

(2)Gは、Hからの助言を受けているから、少なくとも過失が認められる。

(3)本件事業譲渡によって、損失が生じている。

(4)因果関係について。DDを実施していれば、少なくとも本件事業譲渡の対価は1000万円以下となるはずだったのであるから、実際の対価である4000万円との差額3000万円について、因果関係が認められる。

3 以上、Jの主張は3000万円の限度で認められる。

第3 設問3

1 戊社と乙社とは別法人であるから、丁銀行が戊社に対して、乙社の残債務の弁済を請求することは原則認められない。

2 もっとも、本件事業譲渡契約が「事業の譲渡」(21条以下)にあたり、かつ、詐害事業譲渡(23条の2)にあたれば、残存在権者たる丁は、上記請求をすることが出来る。

(1)「事業の譲渡」該当性について。

 「事業の譲渡」とは、①一定の事業目的の下、組織化され、有機的一体として機能する財産の全部又は重要な一部を譲渡し、②譲受会社がこれを事業活動として承継することを意味すると考える。なお、競業避止義務は、効果であって要件ではないと考える。

 ①について。譲渡目的の日用品事業は、一定の事業目的の下に組織化されており、顧客誘引力を有する登録商標Pと共に、譲渡されている。また、同事業の簿価は、資産6000万円の内4000万円を占めるから重要な一部といえる(①充足)。

 ②について。戊社は登録商標Pを使用した日用品の販売を継続しているから、事業活動の承継も認められる(②充足)

よって、本件事業譲渡は「事業の譲渡」に当たる。

(2)詐害性について。

 同事業の資産簿価は4000万円であるにもかかわらず、僅か半額の2000万円が譲渡対価されているから、詐害性が認められるとも思える。

 もっとも、乙社は非公開会社であって、事業価値の算定は困難であるから、事業価値は、専門家の調査結果を踏まえた価格を基準とすることも許されると考える。

 本件において、専門家は、同事業は簿価通りの資産価値がないと主張している。また、乙社は早く現金を取得したいという意図も有しており、現金化の割引も考慮すべきであるから、対価が2000万円であったとしても、詐害性は認められないといえる。

(3)よって、上記主張は認められない。

3 そうだとしても、22条1項の類推適用により、上記主張が認められないか。

(1)本件では「商号」の続用はないから、同項の直接適用は出来ない。

(2)もっとも、同項の趣旨は、債権者は事業譲渡により事業主体の変更を知ることが出来ず、知ったとしても、譲受会社が債務引受をしていると期待することから、かかる期待を保護する点にある。そこで、商標が事業主体の表示として用いられている場合には、同項を類推適用出来ると考える。

(3)本件において、戊は、顧客吸引力のあった商標Pを使用して、日用品の販売を継続していたので、同項を類推適用出来る。よって、上記主張は認められる。

以上

 

<民訴:2559字>

第1 設問1

1 課題1

(1)被告が乙となる見解

ア 当事者は、人的裁判籍(民事訴訟法(以下、法名省略)4条)の基準ともなり、迅速かつ確実に確定する必要がある。そして、訴えの提起後において訴状が基準として明確であり、また最も確実である。そこで、当事者確定の基準は、訴状の表示を基準とすべきと考える。

イ 本件において、訴状に被告として記載されているのは「Mテック」である。同訴状によって本件訴訟が提起された令和3年4月20日において「Mテック」は乙である。また、訴状に付属書類として添付されており、訴状と一体となっているともいえる代表者事項証明書は乙のものであった。

ウ よって、被告は乙である。

(2)被告が甲となる見解

ア 上記の見解を基礎としつつ、具体的妥当性を図るべく、表示された内容を解釈する上で、当事者の合理的意思も踏まえて、実質的な表示内容を基準とすべきと考える。

イ 本件において、確かに表示は乙である。もっとも原告の合理的意思が反映されている「請求の原因」を見ると、原告が被告としているのは、令和2年4月10日に本件事務所につき賃貸借契約を締結し、本件事務所を同契約に基づいて引渡をし、同契約を解除する旨の内容証明郵便を通知した「Mテック」である。そして、いずれの日においても「Mテック」は甲であった。

 また、訴状において「Mテック」と表示し、乙の代表者証明事項を添付したのは、商号変更がなされたのが、訴状を提出する僅か19日前に過ぎず、商号変更されたことに気づかずに、乙を表示させたことが推測出来る。

ウ よって、被告は甲である。

2 課題2

(1)自白の成立について

ア 第2回口頭弁論期日におけるAの陳述に、口頭弁論期日又は口頭弁論準備期日における自己に不利益な事実を認めて争わない旨の陳述たる裁判上の自白が成立するか。

イ Aは、乙の法定代理人(37条、28条、会社法349条4項)であり、当事者能力は認められる。また、同陳述は第2回口頭弁論でなされている。

 次に裁判上の自白の対象事実が問題となるが、勝敗に直結する事実にこれを適用すれば十分であり、間接事実や補助事実にこれを適用すれば自由心証主義(247条)を制約し妥当ではないから、主要事実がその対象になると考える。また、自己に不利益な事実とは、基準としての明確性から、実体法上相手方が立証責任を負う事実をいうと解する。

 本件訴訟の訴訟物は、賃貸借契約終了に基づく目的物返還請求権としての建物明渡請求権である。同訴訟物における主要事実は、(a)賃貸借契約の合意(b)合意に基づく目的物の引渡(c)終了原因事実である。そして、これらの事実は、目的物の返還を求める原告が実体法上、立証責任を負う。本件において【事例】3における(1)(2)(3)がそれぞれ(a)(b)(c)に対応しており、Aはこれらの事実について、これらを認めて争わない旨の陳述をしている。

ウ よって、裁判上の自白が成立する。

(2)自白の撤回について

もっとも、第3回口頭弁論期日において、Aは自白を撤回しているが、裁判所はどう取り扱うべきか。

ア 自白の撤回は原則として認められないと考える。なぜなら、裁判上の自白は、当事者間に争いのない事実は、そのまま判決の基礎としなければならないという弁論主義第2テーゼによって裁判所拘束力が生じ、そのことから不要証効(179条)が生じ、そして、かかる有利な地位を得た当事者の期待を保護する必要性や禁反言の観点から、不可撤回効が生じるからである。

イ もっとも、かかる不可撤回効の根拠が妥当しない場合には例外的に自白の撤回は認められると考える。

本件において、自白の撤回が認められない場合、Xは請求認容判決を得ることになるが、かかる債務名義は乙に対するものであるから、実際に明渡を請求したい甲に対しては、強制執行をすることは出来ない。そうすると、Xは本件訴訟の請求認容判決を得たとしても、自己の目的を実現することは出来ないから、法的保護に値する既得の地位を得ているとはいない。また、かかる状況で、禁反言を認めない必要性もない。

よって、裁判所は、例外的に自白の撤回を認めて、審理を続行すべきである。

第2 設問2

(1)第1について

 本件において、訴訟状態を利用することは出来る。

(2)第2について

ア 訴訟の複雑化を招かなければ、同問題は妥当しない。

イ 本件において、甲における契約を締結した当事者は、新訴の重要証人は、旧訴の当事者であるAと同一人物であるから、訴訟の複雑化を招くことはない。

(3)第3について

 ア 軽率な提訴等が誘発するおそれが無ければ、同問題は妥当しない。

イ 本件では、Aが、甲の商号を変更したことによることが原因であるが、かかる変更は、AがXの訴えを空振りにさせて時間稼ぎをするために濫用的になされたものであって、Xに帰責性は乏しく、軽率な提訴等を誘発するおそれは無いといえる。

(4)第4について

 ア 新訴の提起時期が訴訟遅延を招かなければ、同問題は妥当しない。

 イ 本件では、主観的追加的併合の時点では、新訴の重要証人であるAの証人尋問はなされておらず、また、その他重要な証拠物である賃貸借契約書等の書証の取調もなされていない状況である。よって、旧訴の証拠調べが無駄になるようなことはなく、本件の追加は、訴訟遅延を招かない提訴時期といえる。

第3 設問3

1 「文書」とは、その文言から、紙媒体に意味のある文章が記載されたものを意味すると考える。これは、221条1項が「文書の表示」を明示することは義務付けていること、規則143条1項で「原本」の提出を義務付けていることとも整合性を有する。

 そうすると、USBは紙媒体のものではないから、「文書」には該当しない。

2 そうだとしてもUSBについて231条を適用出来るか。

 同条の趣旨は、文書ではないものであっても、一般的に意思表示や意思確認等の情報を記録する媒体として広く利用されており、かつ、文書同様に証拠としての重要性が認められるものについて、第5節の規定を準用する点にある。

 本件において、USBは、契約書等、意思表示の内容を確認するための記録媒体として広く一般に利用されている。また、USBは、意思表示等を保存する記録媒体であるから、証拠として重要性を有する。

 よって、USBに同条の趣旨が妥当するから、同条を適用出来る。

以上

 

令和4年度司法試験再現答案 公法系

参考までに、上げます。前年度の過去問を起案する人は、出題可能性の観点から、あまりいないと思いますが、レベル感を把握するという点では意味あるかと思いますので。

 

公法系は、120点、300番台。憲法行政法もA評価。

 

憲法:3018字>

第1 設問1

1 決定①について

(1)研究助成金の交付は請求権であって、憲法上保障された人権ではない。よって、助成の趣旨に適合しないことを理由に不交付を決定した決定①は、何ら憲法上の問題は生じない。

(2)仮に、Yの助成金の交付が憲法上保障されているとしても、YはX大学の教授であるから、交付金の決定については、大学の自治に基づくGの包括的権能による制約を受けることとなる。決定①は、以下の通り、包括的な裁量の範囲内のものであり、憲法上の問題は生じない。

ア 助成金の財源は税金であり、財源の面から制約を受ける権利である。また、助成金の交付は、学問の自由(憲法23条)に資するものであるが、不交付決定がなされたからといって、助成対象以外の学問の自由については何ら制約を与えるものではないから、規制態様は強度ではない。

イ そこで、Xには助成金交付の決定については、広い裁量権が認められ、不決定が著しく合理性を欠く場合にのみ、かかる決定は、学問の自由を侵害し違憲になると解する。

ウ 本件において、Yは過去の交付金を「Y研究室」の運営等に3分の2以上支出されているところ、「Y研究室」では、Yの政治的発言表明やCの活動のために利用されており、また、交付金を利用した出張時において、講演活動を行っていた。助成の趣旨が、地域経済の振興に貢献する研究の推進であることからすれば、かかる個人に政治的な活動は、同趣旨は妥当しない。よって、助成の趣旨に反するYの研究に不交付決定したことは合理性があって、著しく合理性を欠くとはいない。以上、決定①は裁量権の範囲内である。

2 決定②について

(1)決定②は、教育の内容、方法についてのもので、大学の自治のもと、学長に広範な裁量が認められる。また、決定②によって、一部の生徒は、大学を卒業できなくなるという重大な不利益を被っているから、そのような不利益を避けるためにも、広範な裁量が認められる。そこで、裁量の行使が著しく合理性を欠く場合にのみ、決定②は憲法上の問題が生じると解する。

(2)本件において、成績評価が著しく不公正であるという異議申立の下、調査した結果、客観的な事実として、Yの個人的活動団体であるCに加入した者の成績がいずれも最高評価を得ている一方、ブックレットを批判した者の多くが不合格となっていることが判明している。そうすると、Yは成績評価を、個人的な政治思想に基づいて恣意的になされたものといえ、これを是正するためにとった決定②は、合理的な裁量権行使である。

(3)よって、決定②は何ら憲法上の問題は生じない。

第2 設問2

1 決定①について

(1)Yからの反論

ア 交付金は、過去から継続的になされていたものであって既得権になっているといえる。また、学問の自由(憲法23条)には、研究の自由も含まれるところ、研究にとって必要不可欠となる交付金を受け取る自由は憲法上保障されているといえる。

イ そもそも、学問の自由を保障するために大学の自治が認められるところ、大学の自治を理由に学問の自由を制約することは背理であって認められない。

決定①によって、Yが行っていた研究活動が出来なくなっているから、決定①は、研究の自由そのものを制約するものであって、規制態様は強度である。また、批判的な性格故に、国家権力から制約を受けることの多い学問の自由は特に保護すべき重要な権利といえる。

そこで、Xの裁量権の範囲は狭く、助成の趣旨に反することが明白でないにもかかわらず、不交付決定がなされれば、裁量権の逸脱濫用となり、決定①は違憲になると解する。

ウ 本件において、Yの行っていた政治的発言は、環境保護と両立する地域経済振興を目指すものであるから、助成の趣旨に合致している。また、講演活動自体は、無報酬で行ったものであって、その内容も環境保護の観点から産業政策を批判したものであって、助成の趣旨に反するものではない。よって、決定①は、裁量権の逸脱濫用にあたり、違憲である。

(2)私見

ア Yの意見に加えて、他の研究員について不交付決定がなされた実績がなく、平等原則の観点からも、交付金を受ける自由(「自由①」という)は学問の自由として保障される。

イ では決定①はXの裁量権の逸脱濫用に当たり意見とならないか。

(ア) 自由①は、Yの通り、批判的性格故、特に保護すべきと考える。そして、批判的な研究内容によって、社会的政策が多角的に検討をされ、よりよい政策決定をすることが出来るというメリットもある。よって、自由①は重要な権利である。他方、財源の観点から制約の必要性が内在する権利でもある。

(イ)制約の態様について、Yの意見の通りである。Xの意見については、制約の対象が研究活動の一部分であるといっても、Yの主要な研究分野が地域経済の振興に関するものであるから、かかる研究活動に対する制約はYの活動の中心的なものであるから、制約は強度である。

(ウ)そこで、Xの裁量は狭く解すべきである。

ウ 本件において、政治的な意見表明があったことは認められるが、それは、研究対象の地域経済の振興についての政治的意見である。研究した内容を、社会で実践していくことも研究の目的に含まれると考える以上、研究活動の一環として政治的発言を伴うのも当然といえる。また、Yの政治的意見は、環境を犠牲にした産業振興を批判しているのであって、環境と両立した産業振興を達成できれば、むしろ、他の地域と差別化を図ることが出来、企業誘致にも資するから、地域経済の振興に貢献出来る。さらに、講演活動は、無報酬であり、営利目的ではなく、その講演内容は、やはり地域経済に関するものだったといえる。そうすと、Yの助成金の支出実績は、助成の趣旨に合致するものであって、これを趣旨に反するとして、不交付決定をしたXに裁量権の逸脱濫用が認められる。

エ よって、決定①は違憲である。

2 決定②について

(1)Yからの反論

ア 教授の自由の一環として、教授内容の決定や、評価方法の決定についても含まれるから、教授内容の決定や評価方法の決定の自由(以下「自由②という」)は、学問の自由として保障される。

イ 大学の自治を理由に、学問の自由を制約することは背理であるから、正当化されない。また、高校までとは異なり、教員にも広い裁量が認められる。そこで、大学側の裁量は狭いと解される。

ウ 本件において、成績評価は客観的な指標に基づいてなされたものであり、また、授業評価アンケートでは、6割以上の学生が高評価をしているから、Yの成績評価を取消したことは、大学の裁量権の逸脱濫用にあたり、学問の自由を侵害する決定②は違憲である。

(2)私見

ア 評価方法等の決定の自由が学問の自由として保障されるのはY主張の通りである。

イ 次に、成績評価は、特定の一授業に関するものであるから、卒業出来ないのは、それのみが原因とはいえず、生徒に多大な不利益を生じさせるものとまではいえない。そこで、大学の裁量は狭いと解する。

ウ 本件で、成績分布が上述の通りとなったのは、恣意的な因果関係によるものではなく、相関関係にあるに過ぎない。また、ブックレットに批判的な者の成績が低評価にとどまったのは、十分な理由を示さなかったという客観的基準に基づくものである。よって、Yの成績評価はYの裁量権の範囲内にあり、これを取消した決定②はXの裁量権の逸脱濫用が認められ、違憲である。

以上

 

行政法:3869字>

第1 設問1(1)

1 E及びFは、本件申請に係る許可(以下、「本件許可」という)の取消を求めるにつき、「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という)9条1項)として原告適格を有するか。

2 「法律上の利益を有する者」とは、自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと考える。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるに留めず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護する趣旨を含むと解される場合には、かかる利益もここで言う法律上保護された利益に当たると考える。E及びFは、本件許可の名宛人ではないので、以下同法9条2項に従って検討する。

3 (1)Eについて

ア Eは、本件許可によって本件計画が実行されることで、発生の蓋然性が高まる、本件沢からの溢水等の災害によって、自己が所有する所有林という財産権が侵害されない自由(以下、「自由①」という)が侵害されると主張することが考えられる。では本件許可の根拠法規たる法10条の2は、自由①を個別的利益として保護する趣旨を含むか。

イ 同条2項は、不許可要件として、「土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること」(1号)、「水害を発生させるおそれがあること」(1号の2)を明示している。また、同条の委任を受け、根拠法規となる規則4条では、開発行為の施行の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意書類(2号)の提出を義務付けることで、権利を害される関係者に手続保障を与えている。そうすると、根拠法規は、少なくとも本件沢からの溢水による災害によって、財産権を侵害されない自由を一般的公益としては保護する趣旨を含むと解さられる。

 そして、自由①は、本件沢に近接すればする程甚大な被害が生じるという性質を有する。また、本件沢からの土砂が林地に流出すると、立木の育成に悪影響を与える。立木の育成には相当に長い年月を要することを踏まえれば、かかる被害は、事後回復が著しく困難なものといえる。

 そこで、根拠法規は、本件沢からの溢水によって、財産権に直接甚大な損害を受ける者の利益を個別利益として保護する趣旨を含むと解する。

ウ 本件において、Eの所有林は、本件開発区域内にあって、本件沢が通過しているから、溢水による災害の震源地内に存する。そして、Eは、過去の集中豪雨によって本件沢からの溢水によって、立木の育成に悪影響を受けている。本件計画によって、以前より保水力の低下することとなる同区域内において、このような災害が発生する蓋然性は一段と高まっているといえる。そうすると、Eの所有林は、発生の蓋然性が高まっている本件沢からの溢水によって、直接甚大な損害を受けることとなる。

 よって、Eに原告適格は認められる。

(2)Fについて

ア (ア) Fは、本件許可によって、本件沢からの溢水等の災害によって、生命身体を害されない自由(以下、「自由②」という)が侵害されると主張することが考えられる。では、根拠法規が、自由②を個別的利益として保護する趣旨を含むか。

(イ) 同条2項は、不許可要件として、「土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること」(1号)、「水害を発生させるおそれがあること」(1号の2)を明示している。   

そして、生命身体の利益は、金銭による事後回復が不可能という性質のものである。また、本件沢に近接すればするする程、生命身体に対する損害は甚大なものとなる。

そこで、根拠法規は、本件沢による溢水災害によって、生命身体に甚大な被害を受ける者の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むと解する。

(ウ) Fは、本件開発区域の外縁から僅か200mに居住しており、かつ同場所は、溢水による被害が甚大となる下流部である。よって、Fは、本件許可によって、生命身体に甚大な被害を受ける者といえ、原告適格が認められる。

イ (ア)また、Fは、本件許可によって、生活用水や飲料水などの水源の確保を侵害されない自由(以下、「自由③」という)を侵害されると主張することが考えられる。以下、同様に検討する。

(イ)法10条の2第2項2号は、「水の確保」に著しい支障を及ぼすおそれがあることを不許可条件としている。また、本件許可基準は、行政規則であって法的拘束力はないものの、B県によって公表の上運用されていることから、法の合理的な解釈指針となると考えるところ、基準第4において、「必要な水量を確保」するための適切な措置を講ずることを義務付けている。

 次に、水は、生活用水等として、日常的に反復継続して使用するものであるから、十分な水量を確保出来ないと日常生活に著しい損害を生じさせる。

 そこで、根拠法規は、日常的に、本件沢を水源として生活用水を利用する者の利益を個別的利益として保護する趣旨を含むと解する。

(ウ)Fは、本件沢の水を飲料水や生活用水として日常的に利用している。そして、本件計画によって山林の保水力の低下も見込まれるから、Fは、日常の生活用水等を安定して利用出来なくという著しい損害を受ける者といえる。よって、Fに原告適格が認められる。

第2 設問1(2)

(1)本問において、Fに本件許可を取消す必要性たる訴えの利益が認められるか。具体的には、Fに、回復すべき法律上の利益及び除去すべき法的効果が有るかを検討する。

(2)ア まず、開発許可の法的効果を検討するに、開発許可を受けずに開発行為をした場合には、開発行為の中止命令や復旧命令が発出されうるという効果がある(法10条の3)。もっとも、本件開発行為の完了後に、かかる監督処分を発出する上で、本件許可が法的障害になっている訳ではなく、また、本件許可を取消したことによって、監督処分が発出される制度設計ではない。よって、Fに本件許可を取消すことによって除去すべき法的効果は認められない。

イ 法206条によって、本件許可が取消されれば、開発行為をした者であるAには懲役や罰金が課される可能性があるが、かかる効果は、一般的な公益であって、F個別の法律上の利益とはいえない。

(3)以上、Fに訴えの利益は認めらない。

第3 設問2

1 (1)Fは、本件許可に際し、所有林面積の割合を考慮要素としなかったことに考慮不尽があり、判断過程において重要な事実の基礎を欠き、社会通念上著しく妥当性を欠くから、B県知事の裁量権の逸脱・濫用(行訴法30条)にあたり違法であると主張すべきである。

 まず、開発許可につきB県知事の裁量は認められる。なぜなら、法10条の2の許可要件は、概括的な文言であり、かつその該当性判断にあたっては、技術的・専門的な判断、土地の性質という地域の特殊性に応じた判断が必要となるからである。

 次に、開発許可にあたり、知事は、不許可要件である災害を発生させるおそれ(法10条の2第2項1号)の有無等を考慮しなければならない。そのためには、災害の根本原因を突き止め、その原因が生じることを未然に防ぐことが重要である。開発行為による災害の典型例は、水害であるが、水害の根本原因は、森林伐採によって森林の保水力が低下することである。そうすると、災害発生の根本原因となる、開発計画によって、元々あった所有林がどの程度伐採され、保水力が低下することになるのかが、災害防止の観点からは重要であり、よって所有林面積割合が開発許可にあたっては重要な考慮要素となる。

 それにもかかわらず、所有林面積割合を考慮せずに、本件許可の判断をしたことは、考慮不尽であって、裁量権の逸脱・濫用があるから、違法である。

(2)これに対して、B県は、許可基準第1-1-①で、利害関係者の同意を義務付けているから、考慮不尽には当たらないと反論することが考えられる。すなわち、利害関係者は、所有林面積割合を認識し、災害の発生の蓋然性を考慮した上で、同意不同意を決定するのだから、同基準において、所有林面積割合も考慮要素に含まれているといえるからである。

2 (1)Fは、本件認定が適法になされている以上、本件許可は、基準第1-1-②の「法令等による土地の使用に関する制限等」に抵触するから、基準を充足せず、違法であると主張すべきである。

 本件認定は、本件計画によって水源の確保が不十分になるおそれが認められるため、市の「水道水源を保護」(条例1条)するという正当な目的のためになされたものであるから、適法である。

(2)これに対して、B県は、本件認定はC市による不当な動機・目的によってなされたものであり、違法で取り消されるべきであるから、本件許可基準第1-1-②に適合し、本件許可は適法であると反論すべきである。

 すなわち、本件認定は、C市長が、本件計画の阻止するためだけに狙い打ちをしたものである。また、Aの本件計画を知ったC市がその直後に手続をしていることからも、水道水源を保護する目的ではなく、本件認定は、不当な動機・目的によってなされたものといえる。

3 (1)Fは、本件貯水池の容量が少なく、生活用水に不足が生じることから、法10条の2第2項2号及び基準第4-1に不適合であると主張することが考えられる。

(2)これに対して、Bは、同基準については、技術的な判断が必要であり、また、予算の制約があることから要件裁量が認められ、Fの主張する容量の確保は技術的に難しく、費用が掛かりすぎるため、本件貯水池でも、同基準を充足し、違法ではないと反論すべきである。

以上

 

令和四年度 中小企業診断士 論述結果

謎に合格でした。

最後、口述ですが、予備試験の口述と比較すれば、まあ大丈夫でしょう。

油断せずにやります。

 

予備試験も、司法試験も、中小企業診断士試験も、過去問をやれば、合格が近づくようです。

 

弁護士と中小企業診断士とのダブル資格は、個人的に、相性良いのではと思いますが、実際のところの感想は、5年後位に書こうと思います。

令和4年度司法試験 成績通知

本日、成績通知書が来ました。

 

合格発表後の予想は以下の通り。

 

----qt----

憲法A  600-900 

行政A  300-600

民法A  300-600

商法A  600-900

民訴B 

刑法A  600-900

刑訴A  1-300

 

で、総合350位近辺かなと。

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結果は、民訴がCで、他はA。論文300位~350位。総合同じくでした。

公法系:120点弱で、300位ちょい

民事系:160点強で、700位ちょい

刑事系:130点強で、200位切るくらい

選択:56点

 

で、主観と客観がほぼ一致しておりました。

予備試験2回、模試等を通じて、予想の確度が上がったのでしょう。

 

落ちてるんじゃないかと不安になる必要もなかったのではとも思いますが、当時の心境としては、どうしても不安になります。仕方ないです。

 

ということで、一旦、更新は終了します。

5年後位に、会社員を辞めてよかったのか、検証したいと思います。

 

もし、社会人で、弁護士になろうか悩まれている方は、お気軽にコメントしてみて下さい。

リアルをお伝えします。

 

勉強スタイルと今後の更新予定

個人的なもので恐縮ですが、勉強スタイルをシェアします。

 

<計画編>

・計画は、わりと細かく作って、計画通りに勉強する(計画通りじゃないと気持ち悪いと思う)

・計画通りにするため、予備日とかを設定する。自分の実力、性格を考慮して、やや緩めに。

・計画の見直しは、週一位でやっていました。

 

<OUTPUT編>

・過去問、答練は、3周を目安に。

・1周目は、必ずフル起案をする。(ボロボロになる→本番じゃなくて良かったと安心)

・2周目、3周目も、解答例を読むのではなく、思い出す、言語化する。

・過去問、答練は、設問1つにつき、極める論点を2つか3つ抽出する(手を広げ過ぎない。)

 

<INPUT編>

・とにかく、1周回す。

・2周目は、OUTPUTしてから、苦手分野を中心に。

 

 

 

 

<今度の更新予定>

当ブログのアクセス数は、20アクセス/日という、安定した低空飛行を続けて参りました。

僕も、勉強中、不安な時は、他の方のブログを見て、気持ちを落ち着けていました。

これから司法試験を目指そうという方、勉強中の方の、お役に立てればなと思い、個人的見解を書いて参りました。

受験生を卒業するのにあわせて、ブログの方も、次回、司法試験結果の答え合わせをして、最終回にします。

 

 

 

司法試験成績予想

出題趣旨を斜め読み、伊藤塾の解説講義を2倍速で聞きました。

それを前提で、予想します。数字は順位です。

答えあわせは、後日。

 

憲法A  600-900

行政A  300-600

民法A  300-600

商法A  600-900

民訴B 

刑法A  600-900

刑訴A  1-300

 

で、総合350位近辺かなと。

自己評価いつも低すぎだったので、甘めにしてます。